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解析事例・インタビュー

ソフトフェアクレイドル 技術二課 衛藤 潤
HeatPathViewの開発背景

 

STREAM®、熱設計PACの解析結果表示ユーティリティツールとして開発されたHeatPathView。HeatPathViewを用いると、解析結果から各部品に着目した放熱対策が行えます。放熱バランスや、放熱経路の検索ができ、グラフによる直観的な評価が可能になる便利なツールです。 「熱の流れを把握することで、より確実な放熱設計ができる」という発案者であるソフトウェアクレイドル 技術部 衛藤にツール開発背景について聞きました。

株式会社ソフトウェアクレイドル
技術部 技術二課 衛藤潤

開発にあたり苦労や工夫したポイントなどがあればお聞かせください。


熱の流れをわかりやすく、簡単に可視化する方法について熟慮しました。流れと言えばすぐにポストによる空気の流れをベクトルで可視化するような方法が浮かびますが、もう少し全体像が把握しやすいインターフェースが必要だと思いました。熱設計分野には、CFD以外にも経験式を使った手計算や熱回路網法を利用した温度予測法がありますが、これらの出力は細かな分布を見ることができない代わりに非常に簡素でわかりやすい長所があると以前から感じていました。CFDは要素レベルの非常に細かい情報を持っていますが、ユーザー様が全体像を把握するためには、この情報をこれらの予測法のような一次元の情報に落として可視化させることが重要であると考えました。

次に、これらの情報を設計者にできるだけなじみのある用語で整理することに留意しました。熱設計の基礎となる伝熱工学にでてくるような、“伝熱の基本3形態(熱伝導、対流熱伝達、輻射)”、“放熱経路”、“熱抵抗”といったフレーズで解析結果をまとめることができれば、解析が設計者にとってもっと親しみやすいものになるのではないかと考えました。

最後に、ユーザビリティの高さです。コンピュータの性能向上によって、年々解析規模が大規模化しているため、現在では億単位の要素での解析を行っているユーザーも少なくありません。今後も解析規模の増大は続いていくことが予想できるため、できるだけ解析規模に依存せずにすばやく結果を確認できるツールを目指しました。

このような方針で、ツールのβ版を作成してから、いくつかのユーザー様に試していただき、感想や改善点についてヒアリングを行いつつ、細かい点について詰めていきました。

 

図3 ヒートシンクの放熱/受熱バランス(ヒートバランスタブ)

機能の構成や簡単な使い方を教えてください。


HeatPathViewは大きく分けて3つの機能を備えています。ここではLED電球の解析例を用いて機能をご紹介します。まず、[部品温度]タブでは各部品の最高温度や平均温度、発熱量、材質名などがリスト表示されています。着目部品が温度マージン内に収まっているかどうか確認したり、予想外に温度上昇している部品がないかどうかを確認したりすることができます。また、1[W]あたりの温度上昇度や発熱密度についても確認することができるため、発熱量が異なる部品同士に対して放熱能力の相対的な比較を行うことができます。

 次に[ヒートバランス]タブでは、着目した部品からどの部品へどの程度放熱しているかもしくは受熱しているか瞬時に確認することができます。図3はヒートシンクの放熱/受熱バランスを示しています。アルミ基板から受けた熱のうち、約50%が対流熱伝達で空気へ放熱、約25%が熱伝導によってサイドカバーへ、約25%が輻射によって放熱が行われていることがわかります。放熱バランスを把握することができれば、その状況に応じた効果的な熱対策を行う指針を立てることができます。部品内部で発生した熱が“伝熱の基本3形態”である熱伝導、対流熱伝達、輻射のうち何処から逃げているか把握することは実測では容易ではありません。まさに解析ならではの出力と言えます。

図4 LED素子からの放熱経路(ヒートパスタブ)

 最後は[ヒートパス]タブです。[ヒートパス]タブでは着目した部品からの放熱経路を簡単に表示することができます。図4はLED素子からのメインの放熱経路を示しています。LED素子から基板を通ってヒートシンクから周囲空気へ伝わっていることがわかります。熱設計、熱対策の基本は、放熱経路上の熱抵抗を減らすことですので、熱経路上の部品温度だけではなく、部品間熱抵抗という概念も導出して表示することにしました。これにより熱経路上のどの場所に対して対策を行えば効果的であるか容易に判断することができます。また、メインの熱経路だけでなくスライドバーの切り替えで2番目、3番目の熱経路も探索することができますので、ボトルネックになっている経路やその場所を探し出すことが可能です。発熱部品に対してはこのように熱経路上のボトルネックを把握することが重要となりますが、自己発熱がなく、熱に弱い部品に対しては受熱経路を知ることが重要になります。HeatPathViewでは放熱/受熱経路を簡単に切り替えることができますので、このような部品に対しては受熱経路を確認することで、どの場所に対策を施せば受熱を遮断できるか把握することができます。

最後に、ユーザー様にひとことお願いします。


HeatPathViewを利用することで、“熱の流れ”という新しい視点で解析結果を確認することができます。新しい視点から眺めれば、新しい発見があるはずです。ぜひ一度これまでに行われた解析をこの視点から眺めてみてはいかがでしょうか。本ツールが少しでも熱設計・熱対策のお役に立てることができれば幸いです。

※STREAM、SCRYU/Tetraおよび熱設計PACは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2012年11月現在のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。

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