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解析事例・インタビュー

Tomo技術士事務所
ファンのプロフェッショナルが開発に活用
特殊な現象や超音波解析にも取り組む

[後編] ファン開発やCFD技術のコンサルティングなどを行っているTomo技術士事務所の業務において不可欠なのが、ソフトウェアクレイドルの熱流体解析ツール「SCRYU/Tetra®」だ。長年あらゆるファンの研究開発に実験とシミュレーションの両面から取り組んできたという同事務所の友廣輝彦氏に、最近の解析事例や、CFDツールへの期待を聞いた。

写真1 Tomo技術士事務所
技術士(機械部門、情報工学部門)
友廣 輝彦 氏

流れ場における超音波を予測する

 ファン以外にも興味深い例として、友廣氏は流体解析ツールを使った超音波の伝播の解析も行っている。超音波を扱うシミュレーションツールは以前からあるが、流れのないところ、とくに固体中の伝播を扱うものがほとんどだった。流れ場における音波の伝播解析ツールは、友廣氏が超音波解析を始めた当時はほぼなかった。だが音は空気の粗密波であることから、市販のCFDツールでも圧縮性流体の解析で基本的に解けるはずだと考え、取り組みをスタートしたという。

 

 取り組んだ理由として「流れの中を伝わることにより超音波がどう変化するのか、あるいは流れが変化すると超音波にどのような影響が出るのか、実験だけではなかなか分かりませんでした」と友廣氏はいう。「シミュレーション精度との兼ね合いになりますが、傾向としてこういった流れの変化があれば、超音波の伝播がどう変わるかなど、定性的な部分で使えるようにしていきたいですね」(友廣氏)。

図4 流体中で超音波が伝播していく様子
超音波の周波数は40kHz、非定常解析
超音波の発生は、振動する壁面領域に流体の流入と流出が
生じるという条件で与えている ※クリックで拡大

 図4は四角い壁に囲まれた気体中で超音波が伝播していく様子の圧力コンター図になる。ここでは流れのない状態で解析している。超音波の周波数は40kHzで非定常解析である。超音波の発生条件として、振動する壁面領域から、流体の流入と流出が生じるという条件を与えており、伝播・反射・回折などがうまくシミュレーションできていることがわかる。

 

 

 CFDツールにおける超音波のシミュレーションの難しさは、「ある意味特殊な使い方をしているため事例も少なく、何が正しいかの判断が難しい」(友廣氏)ことだという。市販のCFDツールで音の解析が行われ始めたのは2000年より後だった。それ以前は音を解析したいと言っても、ベンダーの対応は「そういった使い方をするツールではない」といった雰囲気だったそうだ。「流れに比べて音の圧力の変化は非常に小さいので、その変化をきちんと捉えられるようなプログラムでなければ精度は出ません。ですがある程度定性的には得られるかなと考えています。まだ使えるとは言い切れませんが、実用には足りるようもっていきたいですね」(友廣氏)。

 

業務では十分な機能と精度

 友廣氏はSCRYU/Tetraの業務への貢献度について、「少なくとも自分の業務範囲では、十分な機能と精度を持っています」と話す。独立の前は実験もシミュレーションも行うことができたが、現在は実験環境はない。そのためアイデアを検討したり、顧客への提案といったときには必然的にシミュレーションを使用することになる。そういう意味では非常に役に立っていると友廣氏はいう。

 

 なおソフトウェアクレイドルはポリヘドラルメッシュを採用した新熱流体解析ソフトウェア「scFLOW」の提供を2016年11月に開始した。「今までと同じモデルに対する解析結果はscFLOWでも同じように出てほしいというのはありますね」と友廣氏はいう。「いずれはscFLOWに衣替えする形になるので、うまく引き継げるよう大いに期待しています」(友廣氏)。

 

大規模計算やAI活用への期待も

 友廣氏はCFDツールの進化へ期待することとして、大規模計算への対応やAI活用を挙げた。大規模計算が増えてきていることについては、「何千万、何億といったメッシュ数になっています。読み込みや書き出しだけでも大変になり、ハードの能力さえ上げれば対処できるという状態ではなくなっていくでしょう。そのあたりは新しい手法を取り入れていく必要があると思います。また解析結果は圧縮しても差し支えないケースもあると思います」(友廣氏)。

 

 また友廣氏は、AI活用による解析データ分析の効率化への期待も語った。「ファンやダクトの流れ現象においては、抵抗や損失を減らしたいという話がよく出ていきます。過去の多くの解析例を学習することで、新たに得られた解析結果データから損失の大きい領域を抽出して表示したり、損失の発生原因によって色分けしたりすることができれば、開発現場の設計者にとっては非常に有効です」(友廣氏)。

 

現物が分かる人がより増えれば

 また友廣氏は、ソフトウェアベンダー全般に言えることでもあるものの、実際の設計現場や実験の経験がある人をもっと増やしてほしいと要望を語った。「ソフトウェアのユーザーにとって、アドバイスをくれるベンダーの人はシミュレーションの専門家であることに加えて、実際の実験や設計の経験があるかどうかは非常に大きいです。設計現場との意思の疎通がうまくいきますし、ユーザーからすればアドバイスの重みが違います」(友廣氏)。またユーザー側の人間であっても、社内で専門にシミュレーションだけを行っている人もいる。「そういう立場の人に対しても、現場を知っている人たちのアドバイスは非常に役に立つでしょう」(友廣氏)。

 

 ファンを中心とするあらゆるテーマに取り組むTomo技術士事務所。興味深い事例を聞かせていただくとともに、ソフトウェアの進化への期待を聞くこともできた。ソフトウェアクレイドルはその期待に応えるべく、絶えず機能革新を続けていく予定だ。

※STREAM、およびSCRYU/Tetraは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2017年1月現在のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。

プロフィール

 

Tomo技術士事務所
設立 2011年4月
事業内容 送風機の研究・開発・設計に関するコンサルティング
コンピュータによる流体解析に関するコンサルティング
代表者 友廣 輝彦
所在地 奈良県生駒市

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