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技術情報・コラム

岡さんの「混相流は流体シミュレーション解析で勝負!」 第14回

結露解析(1)

  気液二相流 解析として結露( 蒸発 )解析があります。室内の窓や壁で生じる結露、デフロスタ(車両の窓ガラスの結露による曇りを除去する機能)などが解析対象となります。
 
 結露解析では空気中の水蒸気量( 湿度 )を考慮するため、 気相 側の 流体解析 で水蒸気を変数として取り扱う必要があります。さらに壁面近傍の空気中の絶対湿度(乾燥空気重量に対する水蒸気重量)と壁面温度の飽和絶対湿度の差から壁面における結露もしくは蒸発を計算します。図14.1のように空気中の 絶対湿度 が壁面温度の飽和絶対湿度より大きい場合には結露速度[ kg/(m2 s) ]が生じ、潜熱分2500 kJ/kgを発熱します。空気中の絶対湿度が壁面温度の飽和絶対湿度より小さい場合は蒸発速度(負の結露速度)が生じ、潜熱分を吸熱します。ただし、空気中の絶対湿度が飽和絶対湿度を超えても水分凝縮(霧)は考慮されません。また、壁面で結露した水分は静止するものと仮定し、液だれは考慮しません。


図14.1 結露速度

 それでは、今回も解析事例をご紹介します。鉄道車両の運転席ガラスの曇り止めとして利用されていた電熱式デフロスタを解析します。現在の鉄道車両は運転席ガラス全面の曇りを除去する方式になっていますが、従来の鉄道車両では図14.2のように運転席ガラスの一部分に電熱式デフロスタが設置され、その部分の曇りを除去していました。


図14.2 鉄道車両

  図14.3のように解析対象は運転席とします。運転手は表面温度36℃として水分発生量を9.0×10-6 kg/(m2 s)(50 mL/h)とします。運転席ガラスの車両外側の表面温度は-5℃、運転席扉の表面温度は20℃とします。その他は断熱条件とします。運転席の初期温度は20℃、初期湿度は 相対湿度 で55%とします。なお、温度差による 浮力 を考慮しています。


図14.3 運転席

 図14.4のように電熱式デフロスタは運転席ガラス、枠、枠ガラスで電熱線を囲み、温められた空気を逃がさないように二重ガラス構造になっています。今回の解析では電熱線を4本として開始時から90秒後に発熱し、10秒間で1本あたり50 Wの発熱量に到達し、その後はその発熱量を維持するものとします。


図14.4 電熱式デフロスタ

 図14.5は運転手側から見た運転席ガラス面の温度分布、図14.6は車両外側から見た運転席ガラス面の結露量分布の時間変化になります。開始時から90秒後まで運転席ガラス面に結露が生じ、その後は電熱線の発熱に伴い、結露が除去されていく様子が再現されています。なお、図14.5、図14.6は時間を20倍早くして動画作成しています。


図14.5 温度分布


図14.6 結露量分布

 次回も結露解析事例をご紹介したいと思います。

< 第13回 解析事例 第15回 結露解析(2) >
岡森
著者プロフィール
岡森 克高 | 1966年10月 東京都生まれ
慶應義塾大学 大学院 理工学研究科 応用化学専攻 修士課程修了
日本機械学会 計算力学技術者1級(熱流体力学分野:混相流)
日本酸素(現 大陽日酸)にて、数値流体力学(CFD)プログラムの開発に従事。また、日本酸素では営業技術支援の為に商用コードを用いたコンサルティング業務もこなす。その後、外資系CAEベンダーにて技術サポートとして、数多くの大手企業の設計開発をCFDの切り口からサポートした。これらの経験をもとに、現職ソフトウェアクレイドルセールスエンジニアに至る。

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