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技術情報・コラム

岡さんの「混相流は流体シミュレーション解析で勝負!」 第18回

凝固・融解解析(2)

 今回も凝固融解解析をご紹介します。 固液共存状態における 液相 の流れは 固相 の体積率(固相率)により影響を受けます。すなわち、固相率が大きくなると流れにくくなります。氷を水で溶かす時のように固液界面が平滑な場合には、図18.1のように流体要素の固相率が流動限界固相率以上で 圧力 速度 を0にして、その流体要素は温度と固相率のみ解くことでモデル化することができます。流動限界固相率は対象により変わりますが、0.7から0.9までが適当かと思います。図18.2は 固体 の周囲に付着している氷を流水で溶かす解析事例の速度ベクトルです。流体要素がわかるように 格子 を表示し、一定長の速度ベクトルを要素ごとに表示しています。この解析事例には流動限界固相率(0.9)によるモデル化を適用しています。図18.2のように固相率が0.9以上の領域を沿うように速度ベクトルが形成されていることがわかります。


図18.1 流動限界固相率によるモデル化


図18.2 解析事例の速度ベクトル

 それでは、今回も解析事例をご紹介します。冷凍ブロックの流水解凍を解析します。水産物などは鮮度を維持するため、冷凍ブロックで流通されます。冷凍ブロックの解凍方法の1つが流水解凍です。流水解凍は短時間で解凍できる長所がありますが、完全に解凍してしまいますと水分がドリップして水産物などが劣化してしまう恐れがあります。そのため、半解凍の状態まで流水解凍し、完全に解凍しないことが重要です。

 図18.3のように水産物18尾(各段に9尾)の冷凍ブロック(長さ266 mm、幅170 mm、高さ50 mm)を考えます。水産物の物性値は 密度 900 kg/m3 比熱 2000 J/(kgK)、 熱伝導率 1.40 W/(m⋅K)とします。 水産物を含めた冷凍ブロックの初期温度を-20℃として4℃の水を 流速 50 mm/sで20分間にわたり流水する場合の非定常解析を実施します。なお、流動限界固相率は0.9とします。


図18.3 冷凍ブロック

 図18.4は上段の水産物の断面温度変化、図18.5は固相率0.5での等値面変化です。20分間の流水により水産物全体が解凍されていることがわかります。しかしながら、断面温度変化を見ますと水産物の端部が4℃近くになっていますので半解凍状態を過ぎてしまっているようです。


図18.4 水産物の断面温度変化


図18.5 固相率の等値面変化

 次に、4℃の水を流速25 mm/sに変更して20分間にわたり流水する場合の非定常解析を実施します。図18.6は上段の水産物の断面温度変化、図18.7は固相率0.5での等値面変化です。断面温度変化を見ますと、手前の1尾以外は0℃以下になっていますので、大部分は半解凍状態と考えられます。この時点で水産物を流水から取り出し、自然解凍すれば水分のドリップもなく短時間で解凍できることになります。

 なお、図18.4~18.7は時間を20倍早くして動画作成しています。次回も凝固・融解解析をご紹介いたします。


図18.6 水産物の断面温度変化(流水速度変更)


図18.7 固相率の等値面変化(流水速度変更)

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岡森
著者プロフィール
岡森 克高 | 1966年10月 東京都生まれ
慶應義塾大学 大学院 理工学研究科 応用化学専攻 修士課程修了
日本機械学会 計算力学技術者1級(熱流体力学分野:混相流)
日本酸素(現 大陽日酸)にて、数値流体力学(CFD)プログラムの開発に従事。また、日本酸素では営業技術支援の為に商用コードを用いたコンサルティング業務もこなす。その後、外資系CAEベンダーにて技術サポートとして、数多くの大手企業の設計開発をCFDの切り口からサポートした。これらの経験をもとに、現職ソフトウェアクレイドルセールスエンジニアに至る。

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