解析してみました「結露防止に網戸&扇風機?」01
【おことわり】
各シミュレーション結果は、ある条件の下での結果であり、かつこのような結果になることを保証するものではありません。 また、この内容を参考にしたことによる事故・損害等に関しては、責任を負いかねます。
網戸がある面は結露しない?
すっかり寒くなりましたが、この時期の悩みの種といえば窓の結露。ただ水滴が付くだけではなく窓枠が腐ったり、壁がカビだらけになったり・・・みなさん苦労しているようで、インターネットで「結露防止」や「結露対策」などのキーワードで検索すると、ありとあらゆるグッズや防止方法がヒットします。
その中で少し気になる記事を見つけました。それは、「網戸のある窓ガラスだけ結露してなかった。」というものです。複数の方が実際に体験していて、写真付きで紹介しているサイトもありました。
果たして、網戸だけで結露が無くなることはあるのか? 熱流体解析ソフトウェア(CFD)を使って検証してみました。
そもそも結露ってどうして発生するの? どうやったら減らせるの?
結露は、空気中に含まれる水蒸気(水が気体の状態)が、冷たい壁や窓ガラスに接して水(液体の状態)になることで発生します。空気中に存在できる水蒸気の量には上限があって、空気の温度が高いほど多くなり、逆に温度が低いほど少なくなります。つまり、水蒸気を含む暖かい空気が冷やされることで、空気中に水蒸気のまま留まることができなくなった水分が結露(水)として冷たい面に着くことになるのです。
そこで、結露発生のポイントはずばり! 空気が冷やされる です。逆に、空気が冷やされなければ結露は発生しませんし、空気を冷やす壁や窓ガラスを暖めれば結露を抑えることができます。実際、自動車のリアガラスには熱線入りのガラスが採用されていますが、あれは、熱線に電気を流し、ガラス面を暖めることで結露(曇り)を無くしています。
先の網戸の例も網戸のある面だけ窓ガラスの温度が高かったのでは? と予想できます。それにしても網戸だけで窓ガラスの温度を上げることができるのでしょうか・・・
検証1:確かに網戸のある窓ガラスは温度が高い
図1 検証モデル
検証モデルは、少々殺風景ですが、幅2m、高さ1.3mの引き違い窓がある8畳ほどの部屋としました(図1)。部屋の中は22℃に空調されている状態で、屋外の気温は3℃、網戸は18メッシュ(18#)と呼ばれるごく一般的なもので、室内から見て右側にあります。なお、窓ガラス以外のサッシュ部分の影響は無視しています。
屋外の風速による違いも検証するため、1m/s、2m/s、4m/s、8m/sの4種類の風速で計算を行いました。
早速検証結果です。室内側の窓ガラス表面の平均温度を比べてみると、屋外の風速が速くなるほど温度が低くなり、いずれも網戸がある側の窓ガラスの温度が無い側より高くなりました(図2)。傾向としては、屋外の風速が速いほど差は小さくなり、網戸の有無による差は最大で1℃ほどになりました。屋外の風速が1m/s時の窓ガラスの表面温度(室内側)を比較すると、かなり分布はついていますが、全体的に右側の網戸側の温度が高いことがわかります(図3・左)。
図2 網戸がある場合とない場合の窓ガラスの平均温度
このときの断面の空気温度を見てみると、網戸がある断面のほうが、ほんの少しですが、温度の分布が穏やかに(暖かい空気の層が厚く)なっています(図3・右)。わずかな差ではありますが、網戸によって屋外の風が抑えられ、暖かい層が広がり、この層によって窓ガラスの温度が高くなったと考えられます。
図3 網戸がある場合とない場合の検証結果
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