解析してみました「10円玉でスマホを冷やす?」02
【おことわり】
各シミュレーション結果は、ある条件の下での結果であり、かつこのような結果になることを保証するものではありません。 また、この内容を参考にしたことによる事故・損害等に関しては、責任を負いかねます。
検証その3:10円玉よりも10倍早く冷やせる方法。
どうやら、10円玉で冷やす方法は、「放熱」ではなく10円玉の温度を使った「冷却」のようです。常温の10円玉では1~2分くらいで温まってしまい、それ以降は冷却の効果も無くなってしまうので、冷やし続けるには、次から次へと10円玉を乗せ替えなければいけません。
それでは、どうやったら冷やし続けられるのか? いったん10円玉からは離れて考えてみましょう。
固体から空気への放熱量は、「放熱面積」、「温度差」、「表面風速」で決まります。スマホ単体+身近なもので放熱させようとすると、劇的に変えられそうなのは「温度差(周囲の温度)」と「表面風速」ですが、温度差が大きいと内部が結露し、故障の危険性が高まりますので、あとは表面風速を速くするしかありません。とりあえず、身近なものということで・・・ うちわで扇いでみましょう。ただ、闇雲に扇ぐのでは腕が疲れるだけなので、スマホをどう扇いだらいいかを考えてみたいと思います。
結果は?
スマホを平置き、横向きに立てる、縦向きに立てる、の3つの状態と、それぞれに風の当て方を2方向変えた場合の表面温度(左)と内部基板温度(右)の温度の時間経過グラフです。
風の当て方によって多少の違いはありますが、今回の中で一番効果があったのは、スマホを縦向きに立てて置き、横から(正面ではなく)扇ぐ方法が一番早く冷やせることが分かりました。そしてその効果は、なんと! 10円玉より内部基板は4倍、表面温度は10倍も早く冷やせる結果になりました。
スマホの放熱では、風を送るほうが効果的だった!
どうでしょうか? うちわで扇ぐだけでかなり急速に冷やすことができますね。うちわであれば、自分も涼しくなれますし、これからはスマホのためにも、自分のためにも、うちわを持ち歩きましょう。
そういえば、缶ビールを急速に冷やすグルグル回す機械ありますよね。あれも同じ原理です。温度差が大きくなる氷水に入れる、表面の流速を速くするためにグルグル回す、これで熱が伝わりやすくなってあっという間に冷えるんです。
番外編:でも、もっと積極的に冷やしたい。
最後に番外編。1~2分とはいえ、うちわで扇ぎ続けるのは手が疲れるし、もっと積極的に冷やしたい人向けの荒業です。
10円玉と同じ直接冷やす方法ですが、もっと大きなものを乗せればそれだけ冷却効果が期待できます。ちなみに、冷却シートなど極端に冷えたものを接触させると、結露などにより故障する可能性が高いので、接触させる物の温度は低くても室温程度にします。あと、熱が伝わりやすい素材にします。
具体的には、アツアツのスマホに同じくらいの大きさで厚みが10倍(5cm~7cmくらい)の金属を乗せることを考えてみます。本当は銅のような熱伝導率の良い材質がいいのですが、重いのと簡単に手に入らないので、今回は熱伝導率が銅の6割くらい、重さが1/3のアルミブロックにします。ただ、他の金属よりはるかに軽いアルミでも、乗せたい大きさだと1.5Kgくらいになります。水が入った1.5Lのペットボトルと同じ重さです。これをスマホの上に乗せるのはちょっと怖いので、アルミブロックの上にスマホを乗せ、できるだけ密着するようにします。接触による冷却なので向きはほとんど関係ありません。
前置きが長くなりましたが、結果です。
スマホ表面の温度(左)は一瞬で常温近くになったままその後もほとんど変わりません。内部基板も10円玉の10倍早く冷却できます。あくまでも完全に密着している場合の話しですが、5分ほどで内部も含め室温近くまで温度を下げることができそうです。ちなみに、こちらもスマホを使っていない(発熱していない)状態での温度変化です。
いかがでしたか? 日々高性能になるスマホ、それに伴い発熱もとても大きくなっています。 今年の夏は特に暑いようなので、大切なスマホが故障しないように、アイデアで乗り切りましょう。
前のページへ |
最後までお読みいただきありがとうございます。ご意見、ご要望などございましたら、下記にご入力ください