機構設計者なら知っておきたい! 電子部品の発熱量計算と熱設計の基礎 第1回 [LTspice] LTspice を使ってみよう (1)

回路シミュレーターとは?
電子部品の発熱量を知るためには、素子 に加わる 電圧 や 電流 を求める必要があります。これらの値を求めるために、試作回路を用意して測定する方法もありますが、本連載では 回路シミュレーター を用いていきます。回路シミュレーターとは、コンピューター上で アナログ回路 の動作をシミュレートするソフトのことで、代表的なものに SPICE があります。
SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)は電子回路のアナログ動作をシミュレートするソフトウェアで、1973年にカリフォルニア大学バークレー校で開発されました。当初は集積回路の設計を目的として開発されましたが、その後一般的な電子回路の設計にも広く用いられるようになりました。
さて、オリジナルの SPICE は CUI(Character User Interface)と呼ばれる文字入力によって操作するソフトウェアでしたが、その後直感的に回路図の作成や結果表示が行える GUI(Graphical User Interface)を備えるなど、改良を施されたソフトウェアが数多く開発されました。その中の一つがLTspiceです。
LTspiceとは?
LTSpiceは、アナログ・デバイセズ社が公開している回路シミュレーターで、無償で利用することができます。このLTspiceを用いると、容易に回路図が作成できるほか、電圧や電流の詳細な波形を得ることができます。本連載では、回路の動作説明にLTspiceを使用しますので、最初にLTspiceのインストール方法を説明します。興味のある方は、ぜひインストールして使ってみてください(記載されている内容は2024年4月4日現在のものです)。
(1) 以下のアナログ・デバイセズ社のサイトにアクセスします
https://www.analog.com/en/resources/design-tools-and-calculators/ltspice-simulator.html
(2) 「Download for Windows 10 64-bit and forward」をクリックします(図1.1)。
図1.1 アナログ・デバイセズ社のダウンロードサイト
(3) ダウンロードが開始されます。ダウンロードが終わったら、LTspice64.msiを実行してLTspiceをインストールします。
(4) インストールが完了すると、デスクトップにショートカットが作成されます。ダブルクリックするとLTspiceが起動します。
※ デフォルトの設定では、LTspiceは以下のフォルダにインストールされます。
C:\Program Files\ADI\LTspice
ショートカットが作成されなかった場合には、このフォルダの中にある実行ファイル「LTspice.exe」をダブルクリックして起動してください。
LTspiceを起動してみよう
LTspice を起動すると、図1.2の画面が表示されます。
図1.2 LTspiceの起動時の画面
メニューバーから [File] – [New Schematic] を選択するか、ツールバーから をクリックすると、図1.3のような表示に切り替わり回路図を作成できるようになります。ここでは、Web表示の都合上、LTspice の表示色を一部変更しています。
図1.3 回路図の作成画面
次回は LTspice で回路図を作成してみます。
著者プロフィール
CrEAM(Cradle Engineers for Accelerating Manufacturing)
電子機器の熱問題をなくすために結成された3ピースユニット。 熱流体解析コンサルタントエンジニアとしての業務経験を生かし、 「熱設計・熱解析をもっと身近なものに。」を目標に活動中。
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