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装置設計者のための騒音の基礎 第1回 はじめに

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装置設計者のための騒音の基礎

はじめに

 静粛性は製品を使う人の快・不快を左右するため、製品価値の重要な項目の一つです。そのため、製品を開発・設計する際には、騒音を測定・分析する必要があります。

騒音を精密に測定しようとする場合、一般的に、無響音室内で専用のマイクロホンで計測し、スペクトルアナライザなどで解析するといったように、高価な機器や設備を必要としますが、開発、製造現場での測定であることもしばしばです。騒音測定においては、測定環境すなわち音場の考慮以外にも、マイクの設置位置やマイク感度の設定、計測範囲を適正に設定するなどの複雑な作業を必要とします。一方、騒音をシミュレーションによって解析するには、音響工学に基づいた知識あるいはシミュレーションソフトなどを必要とし、これらも高度で高額なものとなります。そのため、製品の開発設計では、設計者は計測の専門家による測定結果を得て、解析の専門家の意見を聞いて判断するといったように、分業体制となる場合がほとんどです。

こういった分業体制では、基礎的な知識がないまま、結果だけをうのみにすると、判断をあやまってしまうおそれがあります。


 そこで、この連載では、製品の開発あるいは設計を行っている方たちを対象に、騒音に関する計測・解析結果がどのようなしくみで得られるのかを中心に、音響工学の基礎的な事項について説明します。 また、従来の音響工学では、音の物理的な説明から始まりますが、この連載では、実務に則して、図1に示すように、騒音レベルやスペクトル分布といった最終結果から音源に向かって、流れをさかのぼりながら、フーリエ解析や騒音計のしくみといったことを説明し、最終的に音源として、流体音と振動放射音の発生機構について、説明します。 また、1回につき1項目の説明の読み切りとして、できるだけ例題を多く取り入れるようにします。


図1 騒音測定から解析までの流れ

次回は、騒音に関する学会や資格について説明します。

【参考文献】 機械音響工学 鈴木ほか コロナ社





著者プロフィール
御法川 学 氏 | 法政大学 理工学部 機械工学科 教授
環境計量士(騒音・振動)

1992年 法政大学大学院 工学研究科 機械工学専攻
1992年 株式会社荏原総合研究所 入社
1999年 法政大学工学部 助手
2001年 東京工業大学にて学位取得、博士(工学)
2004年 法政大学工学部 助教授
2010年 法政大学理工学部 教授




著者プロフィール
伊藤 孝宏 氏 | オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

1982年 筑波大学基礎工学類卒業。新日本製鉄株式会社に入社、加熱・冷却設備の開発に従事
1988年 オリエンタルモーター株式会社に入社、送風機の羽根・フレームの開発・設計に従事
2008年 法政大学にて学位取得、博士(工学)
2014年1月現在、オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

 

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