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装置設計者のための騒音の基礎 第2回

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装置設計者のための騒音の基礎

騒音に関する学会、資格

 今回は、騒音に関する学会や資格について説明します。

 表1に騒音に関する国内の主な学会を記します。騒音制御は音響の分野の1つに過ぎず、音に関する研究は、音の物理現象を利用する技術や音楽や、音声などのように信号伝達の手段としての利用、社会的な音環境など、多岐に渡っています。日本音響学会はそれらを網羅する学会で、騒音は音響学会では、騒音・振動分野として扱われています。一方、騒音を専門に扱っている学会もあり、日本騒音制御学会、日本機械学会の環境工学部門、日本建築学会の音環境運営委員会が該当します。いずれも、騒音は人間に不快感を与えるものであり、小さいほど良いというのが方針です。これに対して、日本サウンドスケープ協会や、最近設立されたスマートサウンドデザインソサエティは、騒音は環境を構成する一要素としてとらえ、より良い音環境を構築することを推進しています。例えば、自動車騒音は人間に不快感を与えるため、より低騒音であることが望まれていましたが、最近のハイブリッド車あるいは電気自動車では、逆に歩行者に危険を回避させるために、不快感を与えない程度で、なおかつ注意を喚起できるような音を発生させる必要が生じています。

表1 騒音に関する学会
日本音響学会
http://www.asj.gr.jp/
音声,聴覚, 騒音・振動,建築音響,電気音響,音楽音響,超音波,音響化学,アコースティックイメージングなど、音に関するあらゆる分野の研究者・技術者が参加
日本騒音制御学会
http://www.ince-j.or.jp/
騒音・振動に関する調査・研究の実施
日本機械学会 環境工学部門
http://www.env-jsme.com/
環境問題改善の一つとして、騒音・振動評価・改善技術を推進
日本建築学会 音環境運営委員会
http://news-sv.aij.or.jp/kankyo/s9/
日本サウンドスケープ協会
http://www.soundscape-j.org/
スマートサウンドデザインソサエティ
http://ssds.or.jp/
サウンドデザインの振興と普及を図り、快適かつ機能的な音環境を構築することを推進


騒音を測定するためには、特に資格は必要ありませんが、法的に証明された騒音測定を行う場合は計量事業とみなされ、事業者には環境計量士の設置が必要となります。また、工場・事業場や建設作業での騒音は、騒音規制法で規制されているものも多く、これらの騒音を計測あるいは対策を行うためには、法を遵守させるために、表2に示すような資格を有する者を設置することが必要となります。

表2 騒音に関する資格
環境計量士(騒音・振動)
http://www.meti.go.jp/information/license/c_text07.html 
計量法に基づく、経済産業省所管の国家資格であり、環境に関する濃度、騒音並びに振動についての計量結果を証明する際に必要
環境測定分析士、環境騒音・振動測定士(日本環境測定分析協会)
https://www.jemca.or.jp/capa_top/analysisperson_top/
公害防止管理者(産業環境管理協会)
http://www.jemai.or.jp/polconman/

次回は、騒音の指標について説明します。

【参考文献】 機械音響工学 鈴木ほか コロナ社





著者プロフィール
御法川 学 氏 | 法政大学 理工学部 機械工学科 教授
環境計量士(騒音・振動)

1992年 法政大学大学院 工学研究科 機械工学専攻
1992年 株式会社荏原総合研究所 入社
1999年 法政大学工学部 助手
2001年 東京工業大学にて学位取得、博士(工学)
2004年 法政大学工学部 助教授
2010年 法政大学理工学部 教授




著者プロフィール
伊藤 孝宏 氏 | オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

1982年 筑波大学基礎工学類卒業。新日本製鉄株式会社に入社、加熱・冷却設備の開発に従事
1988年 オリエンタルモーター株式会社に入社、送風機の羽根・フレームの開発・設計に従事
2008年 法政大学にて学位取得、博士(工学)
2014年1月現在、オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

 

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