Cradle

 

投稿一覧

装置設計者のための騒音の基礎 第3回

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
装置設計者のための騒音の基礎

音の指標

 今回は音の指標について説明します。
 音は物理的には、音波すなわち、空気中を伝搬する、人間の可聴周波数帯の弾性波であり、音波を測定した結果が物理量です。物理量には、音圧や音の強さなどが該当します。一方、人間の感覚は刺激に対して線形ではなく(例えば、刺激の強さが2倍になっても、2倍になったとは感じない)、聴覚がとらえた騒音を、音圧などの物理量では正しく表現できません。そこで、騒音を評価する場合、人間の感覚を表した量が必要であり、主観量と呼ばれます。音の大きさなどが主観量に該当します。
また、音波は正弦波をみればわかるように周期的に変化する現象であり、大きさを評価するにはエネルギー平均値を用いる必要があります。また、騒音は時間的に変動する量ですが、これを一つの数値として評価するには、時間平均された量が必要です。さらには、より主観量に合うように規格化された量(尺度)があり、評価量と呼ばれています。

表1 音の指標
物理量:現象を直接表す量 音圧、周波数、音のパワー、音の強さなど
主観量:人間の感覚を表した量 音の大きさ、音の高さなど
評価量:現象を評価するための量 騒音レベル、時間率騒音レベル、等価騒音レベル、ラウドネスなど

 

 物理量、主観量、評価量に該当する量は、表1に記載されたもの以外にも各種ありますが、代表的な例として、音圧、音の強さ、音の大きさ、騒音レベル、時間率騒音レベル、等価騒音レベルについては、後の回で具体的に説明します。

 次回は、物理量と主観量をつなぐ法則である、ウェーバー・フェヒナーの法則について説明します。

【参考文献】 機械音響工学 鈴木ほか コロナ社 





著者プロフィール
御法川 学 氏 | 法政大学 理工学部 機械工学科 教授
環境計量士(騒音・振動)

1992年 法政大学大学院 工学研究科 機械工学専攻
1992年 株式会社荏原総合研究所 入社
1999年 法政大学工学部 助手
2001年 東京工業大学にて学位取得、博士(工学)
2004年 法政大学工学部 助教授
2010年 法政大学理工学部 教授




著者プロフィール
伊藤 孝宏 氏 | オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

1982年 筑波大学基礎工学類卒業。新日本製鉄株式会社に入社、加熱・冷却設備の開発に従事
1988年 オリエンタルモーター株式会社に入社、送風機の羽根・フレームの開発・設計に従事
2008年 法政大学にて学位取得、博士(工学)
2014年1月現在、オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

 

最後までお読みいただきありがとうございます。ご意見、ご要望などございましたら、下記にご入力ください

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ピックアップコンテンツ