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装置設計者のための騒音の基礎 第4回

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装置設計者のための騒音の基礎

ウェーバー・フェヒナーの法則

 前回は、音の指標として、物理量、主観量、評価量の3種類があることを説明しました。今回は、物理量と主観量をつなぐ法則であるウェーバー・フェヒナーの法則について説明します。

 ウェーバー・フェヒナーの法則とは、人間の感覚量は、受ける刺激の強さの対数に比例するというもので、人間の五感への中程度の刺激に対しては、良い近似となることが知られています。
エルンスト・ウェーバーは、被験者に、ある刺激Rを与えて、次にRより大きな刺激を与えて、刺激の量の変化に気づくかを実験したところ、R+⊿Rで変化に気づく場合、⊿Rは変化させる前の刺激Rに比例することを見出しました。つまり、下記の式が成り立ちます。

 ここで、Rは基礎刺激の強度、⊿Rは識別しきい値で、⊿Eは識別しきい値前後での感覚の差です。

 その後、グスタフ・フェヒナーが、⊿R/⊿E=dR/dEとみなして、(1)式を積分することで、下記のウェーバー・フェヒナーの式を導きました。


 ここで、Rは刺激の強度で、Eは感覚量です。 C=1として、(2)式をプロットしてみると、図1に示すように、感覚量は刺激の強度が強まるほど増加しなくなることがわかります。


図1 刺激の強度と感覚量との関係

 (2)式で、刺激の強度Rを基準値との比として感覚量Eを常用対数で計算したものがレベルです。
 次回はレベルについて説明します。

【参考文献】 機械音響工学 鈴木ほか コロナ社 





著者プロフィール
御法川 学 氏 | 法政大学 理工学部 機械工学科 教授
環境計量士(騒音・振動)

1992年 法政大学大学院 工学研究科 機械工学専攻
1992年 株式会社荏原総合研究所 入社
1999年 法政大学工学部 助手
2001年 東京工業大学にて学位取得、博士(工学)
2004年 法政大学工学部 助教授
2010年 法政大学理工学部 教授




著者プロフィール
伊藤 孝宏 氏 | オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

1982年 筑波大学基礎工学類卒業。新日本製鉄株式会社に入社、加熱・冷却設備の開発に従事
1988年 オリエンタルモーター株式会社に入社、送風機の羽根・フレームの開発・設計に従事
2008年 法政大学にて学位取得、博士(工学)
2014年1月現在、オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

 

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