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代表長さの選び方 3.角度

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もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

3.角度

 最も身近な 無次元数 とはなんでしょうか?いろいろ考えられますが、角度 はもっともポピュラーな無次元数の一つだといえます。えっ、角度は「度(°)」とか「ラジアン(rad)」という単位があるじゃないか、と思われるかもしれませんが、単位があっても 次元 があるとは限りません。

 角度とは、2本の線の開き具合のことです。これは例えば次のように計算します。交差する2本の直線の上に、交点を中心とした適当な半径の円を描きます。次に線から線までの円弧の長さを測ります。そしてこの円弧の長さを円の半径で割ります。つまり、長さ ÷ 長さなので、無次元数です。このやり方で定義される角度では、単位に「ラジアン」が使用されます。また、この角度の定義法を 弧度法 と呼びます。

 あるいは円周の長さを円弧の長さで割っても角度になります。この場合もやはり長さ ÷ 長さなので無次元数ですね。円弧の長さ÷円周の長さ×360で計算される角度には「度」という単位が使われています。この方法は 度数法 と呼ばれます。



図2 角度


 ここで、円の半径はなんでもいい点に注意してください。なぜなら円の半径と円弧の長さは比例関係にあるため、円弧の長さ ÷ 半径は、半径によらず一定だからです。

 ところで、このような疑問を持ったことはありませんか?「ラジアン」の角度を計算するとき、なぜ円弧の長さと、半径なのか?ということです。直径ではダメなのでしょうか?円弧の長さと直径は比例するので、直径でもいいような気がしませんか。

 実際、直径でもいいのです。例えば、たったいま筆者が考えたオリジナルの角度の単位「org」は、円弧の長さ ÷ 直径で定義します。直径 d の円の一周の長さは d ですから、一周は になります。つまり一周は  [org] です。すなわち、 [org] = 2[rad] = 360[°] という関係があります。我ながら結構便利な単位だと思いますが、強いて言えば知名度がなく誰も使っていないのが問題です。

 ようするに、角度に限らず、単位なんて何を使ってもいいのです。角度を表すとき、度を使う人もいればラジアンを使う人もいます。長さを表すとき、メートルを使う人もいればフィートを使う人もいます。速度を表すとき、m/s を使う人もいれば km/h を使う人もいます。大事なのは、単位の定義をハッキリすることと、比較したい数同士の単位を合わせることです。例えば 5度と 2ラジアンを比較して、5 と 2 だから 5度のほうが大きいんだ!なんて言っていたらダメです。なにを当たり前のことを、と思われるかもしれません。しかしここで出てきた半径と直径、これがまさに 代表長さ なのです。

本日のまとめ:単位は何を使っても良い。ただし比較したい数同士の単位は合わせる必要がある。





著者プロフィール
吉井 佑太郎 | 1987年2月 奈良県生まれ
名古屋大学大学院 情報科学研究科 複雑系科学専攻 修士課程修了

学生時代は有限要素法や渦法による混相流の数値計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、技術サポートやセミナー講師、ソフトウェア機能の仕様検討などを担当。

 

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