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代表長さの選び方 7.代表長さの選び方

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代表長さの選び方

7.代表長さの選び方

 今回は、いよいよ、代表長さ の選び方です。そもそも 無次元数 はお互いに相似の形であって初めて意味を持つのでした。では問題です。図9の流れ場の レイノルズ数 を計算したいとして、代表長さにどの寸法を選びますか?



図9 例題:代表長さにどれを選びますか?(図1と同じ)


 Aという人もいればBという人もいるでしょう。いや、Cがいいんだ、いやDだ、という人もいるかもしれません。では正解を発表します。どれでも正解です。もちろんAを代表長さとしたレイノルズ数と、Bを代表長さとしたレイノルズ数は、比較できません。逆の言い方をすれば、レイノルズ数を比較したいとき、代表長さの取り方は揃えなければなりません。でも、そもそも比較対象は相似な形なのです。どの寸法を選んだとしても、他の寸法はただちにわかりますから、換算は簡単です。

 角度 の話によく似ていると思いませんか?角度を定義するとき、円弧と半径の比を取るか、円弧と直径の比をとるかは、どちらでも良いのでした。でもこれらは単位が違います。前者が rad で後者は org(「3. 角度」で紹介した筆者のオリジナル単位)です。これらはそのままでは比較できず、比較したければ片方をもう片方の単位に換算する必要があります。いわばAを代表長さとしたレイノルズ数と、Bを代表長さとしたレイノルズ数は、単位が違うのです。比較するためには単位(代表長さの取り方)を揃える必要があります。

 円管内の流れや円柱周りの流れのレイノルズ数を計算するとき、代表長さに半径ではなく直径を採用するのはなぜでしょうか?もうお分かりですね。べつに半径でもいいのです。ただ、過去、大多数のレポートが直径を採用しているので、それと比較するときに直径のほうが便利なので、直径を使うのが普通、というだけです。角度に org よりも rad を使うことが多いのと同じことです。半径を使うほうが便利そうだと思えば、半径を使っても構いません。大切なのは、代表長さに直径を選ぶか半径を選ぶか、ではなく、何を使ったかを明記することです。

本日のまとめ:代表長さはなんでも良い。ただし無次元数を比較する際は、代表長さの取り方は揃えなければならない。その意味で、メジャーな取り方をしておいたほうが(例えば円管内の流れのレイノルズ数であれば、円管の直径)、便利ではある。





著者プロフィール
吉井 佑太郎 | 1987年2月 奈良県生まれ
名古屋大学大学院 情報科学研究科 複雑系科学専攻 修士課程修了

学生時代は有限要素法や渦法による混相流の数値計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、技術サポートやセミナー講師、ソフトウェア機能の仕様検討などを担当。

 

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