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三機工業株式会社 様

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シミュレーション結果を目の前に実在するかのように3D体感できるMRシステムの構築により、イメージどおりの工事を実現

建築設備事業などで高い技術力と提案力をもつ、総合エンジニアリング企業の三機工業。ソフトウェアクレイドルの熱流体解析ソフトウェアSTREAMを活用することで、空調設備の効果を検証している。さらにクライアントへの提案力と説得力を高めるため、STREAMとMR(MixedReality:複合現実感)システムを組み合わせることで空調気流や温度分布などのシミュレーション結果を3D体感できるシステムを構築。クライアントに、現実空間にシミュレーション結果を重ね合わせて3D体感してもらうことで、深い理解が得られ、意思疎通を図るのに大きく役立っている。

複雑な空調の提案に対応するSTREAM

 三機工業は、キヤノングループ会社と共同で、空調気流・温度シミュレーションの3DCGデータとMRシステムとの連携により、目の前に空調気流や温度分布が実在するかのように3D体感できるシステムを構築した。



(左)写真1 三機工業株式会社 技術研究所 建築設備開発部 建築設備2グループマネージャー 福森 幹太 氏
(右)写真2 三機工業株式会社 技術研究所


 実際の空間にリアルタイムにつなぎ合わせられるのは、ソフトウェアクレイドルの熱流体解析ソフトウェアSTREAMやSCRYU/Tetraのシミュレーション結果である。三機工業がSTREAMを導入したのは約28年前。現在、技術研究所でSTREAMをメインに扱うのは6名だが、建築系の新人にはSTREAMの使用が必須になっているという。習得したスキルを、支社や支店に異動配属された時に活用してもらう狙いである。中堅社員も、案件ごとにOJTでテクニックを習得していて、会社全体では70名ぐらいがSTREAMを使用できる。「計算条件のチェックやアドバイスできる立場のスタッフが支社支店にいると、シミュレーション自体は研究所で実施しても効率がよくなります。クライアントからシミュレーションの依頼を受けた時でも、条件を整理して優先順位を絞り込んで目的を明確にしたりするなどで、意思疎通をスムーズにすることができるのです」と同社 技術研究所 建築設備開発部 建築設備2グループマネージャー 福森幹太氏(写真1)は語る。

 技術研究所で扱う年間の物件数は30件前後で、建物の用途は、病院、工場、オフィスビルが多い。新築案件はそのうち1/3ほど。既存建築物の改修やレイアウト変更の案件に伴う空調設計が2/3を占める。既設の生産装置が何年かして入れ替わると、以前の空気の流れや温度の分布が変わってきてしまうこともある。こうした場合、コストの制約と適切な環境を得るために、すべてを刷新せずターゲットを決めて部分的に改修し能力アップを図ることが求められるケースが多いという。「クライアント側から改修案が提示される場合もありますが、STREAMでシミュレーションをかけ、各種の建築図を見てバランスを考えながら、最適な案を提案しています」と福森氏はいう。

 「STREAMを使うことで最も助かっているのは、クライアント側から提示された案に対して、設計上うまくいかないという場合に、その根拠を明確にできることです。もう一つは、現状の把握が的確にできること。例えば、シミュレーションから空間に淀みや熱溜まりができている個所がわかるので、どのような手段で気流を改善すると効果があるか、事前に当たりをつけることができます。そうして、設計担当者や設備技術担当者は気流を詳しく確認して、改善案を具体的に示すことができるため、STREAMは不可欠なツールになっています」と福森氏は語る。三機工業技術研究所では、シミュレーション結果の精度を高めるため、実際の現場における測定や実物大モックアップによる実験とシミュレーションとの整合性をとっている。

シミュレーション結果の3D体感により高い臨場感を得る

 気流や温度のシミュレーション結果は、これまでクライアントに出力紙やビデオ映像として見せることが一般的であったという。福森氏はこうした方法が伝わりにくかったと指摘する。「気流や温度は目に見えず、クライアントが想像していた出力イメージと相違することが多いので理解が困難な場合があります。また、シミュレーション結果の断面が異なっていたり、気流や温度のスケール色、色味が異なっているなどの主観的な意見が出ると、やりとりが煩雑になってきます」。そうした折に、キヤノンマーケティングジャパンとキヤノンITソリューションズから「MREAL」(図1)が2012年にリリースされた。福森氏は「『STREAMで行うシミュレーションをひと目でわかるようにし、クライアントに伝えやすくしたい』と早速相談に行きました。そこからどのように気流や温度を見せられるかを、約3年をかけて協議・構築してきたのです」と語る。



図1 MREALのシステム概要 


 三機工業が導入したMREALは、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)と コンピュータ、そして位置マーカーで構成される(写真3)。現実映像をHMDに 内蔵された3Dビデオカメラで撮影し、その映像をコンピュータに送る。また、3D ビデオカメラなどが捉えた位置マーカーとジャイロセンサーにより、ユーザーの頭の位置や姿勢を精密に計測してコンピュータに送付。現実映像と、STREAMやSCRYU/Tetraの空調関連のシミュレーション結果(図2)や仮想CG映像を高精度で合成する。この合成された映像を再びHMDに送り返すことで、歪みが少ない実物大の複合世界を、ディスプレイ表示する。例えば、病室を想定したセッティングでは、実際には存在しない仮想のベッドや横たわる人が視界に映し出される(写真4)。同時に、天井面にあるように見える空調設備からは、温度に応じて異なる色が付けられた動く矢印が目の前に現れ、空調の気流や温度分布が実在するかのような臨場感が得られる。




(左)写真3 ヘッドマウントディスプレイを装着している様子
(右)図2 STREAMを使用した病室の空調気流シミュレーションのポスト画面


 人の動きにリアルタイムに対応する効果も大きい(写真5)。仮想ベッドに近づくと違和感なく距離が縮まり、HMDの向きを変えると周囲の風景やSTREAMによる気流を表す矢印も追随する。「ARやVRとは異なりMREALは位置合わせの能力が高く、また自分の手と対象物の重なりができても肌色で補正をするので自然に見えます」と福森氏。どの位置であれば風が当たるのかを、実物大で体感的に理解できるのである。


写真4 現実空間の病室写真(写真・左)3D合成画像(写真・右)実際にMREALを利用したユーザーから見える空調気流シミュレーションの映像


真5 人の動きや視線に3Dデータも連動する


コミュニケーションを円滑にし 説得力を高めるバーチャル体感

 福森氏によれば、病院での案件について、MREALを活用した事例がすでにいくつかあるという。「病室では寝ている 患者の滞在時間が長いので、音や光よりも、ちょっとした気流に関するクレームが最も多いのです。一方で病室を訪れる面会者などは気流感がないと、もわっとした不快感を抱きます。患者に気流が直接当たらないような冷暖房の輻射パネルと、患者以外のところに気流を生む吹き出し口を組み合わせた設備機器を設定するなどして、MREALでシミュレーションと重ねて見せています」。

 「クライアントの方々が『こんなふうに空気は流れているのか』と驚かれる様子を目にします」と福森氏はMREALの効果を語る。三機工業は、展示場やモックアップとして病室を製作してMREALを設置。クライアントにはそこに訪れてもらうほか、システムは可搬式となっているため、客先に持ち込んでセッティングし運用することもできる。「実際のレイアウトに対応して、事前に何パターンかシミュレーションをし、現地で提示すると説得力が高まります」。

 今回、三機工業が橋渡しとなり、キヤノングループはSTREAMとSCRYU/Tetraの計算結果を直接MREALに取り込む専用プラグインを開発し、システムを共同で構築した。同システムにより、ポストを操作するだけで、MREALを実現できるため、検証に掛かる時間と労力を大幅に削減することができた。

 これからの展望について福森氏は「BIMのデータをインポートすることで、モデル製作の時間短縮に繋げることや、ソルバーの高速処理対応などを考えています。一連の流れを整備することで、 MREALの見せ方がしやすくなるほか、竣工後のメンテナンスや変更時にも活用できるはず」とする。さまざまな用途や規模での展開が期待されるSTREAMによるシミュレーション結果のMRでの体感は、今後も一層の発展が見込まれる。



三機工業株式会社

  • 事業内容:ビル空調衛生、産業空調、スマートビルソリューション 及びファシリティシステムなどの建築設備事業ほか
  • 本社:東京都中央区
  • 代表者:代表取締役社長執行役員 長谷川 勉
  • URL:https://www.sanki.co.jp/

 

※STREAM、SCRYU/Tetraは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2016年9月現在のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。

  

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