Cradle

 

投稿一覧

テンテックLLC 様

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
テンテックLLC 様インタビュー

電子機器の設計と解析サービスを提供する機械工学系コンサルティング企業

アメリカ・ロサンゼルスに本社を置くテンテックは、国際武器取引規則(ITAR:International Traffic in Arms Regulations)の認可を受けた、機械工学関連のコンサルティングを行う企業だ。航空・防衛や高機能電子機器、再生エネルギーといった分野における、機械設計、解析や測定を請け負う。機械設計部門が専門とするのが、一般消費者向けの耐久性の高い電子機器や、電磁波干渉対策の強化、プラスチック部品の設計などだ。機械解析部門では構造動力学、流体解析、熱解析、振動音響解析、空力弾性解析などを担当し、物理測定を専門とする部署では、衝撃・振動、熱、音響、塩分、霧、湿度、気流などの計測を行う。テンテックでは、2011年からソフトウェアクレイドルの製品を導入し、さまざまなプロジェクトで使用している。


captiveaire_bill_griffin.png captiveaire_picture2.jpg
(左)写真1:テンテックLLC、(右)写真2:ウィリアム・ヴィラーズ氏 テンテック共同設立者兼技術部長


電子機器の設計と解析サービスを提供する機械工学系コンサルティング企業


 ウィリアム・ヴィラーズ氏(写真2)は、メディテレーニアン工科大学で博士課程単位を取得し、航空・防衛の分野で25年の経験を持つ機械工学のスペシャリストだ。専門は構造力学、衝撃・振動、流体力学、機械系の熱解析といった分野で、特に航空電子工学や筐体関連に詳しい。旧アエロスパシアルやユーロコプター、EDSなど、アメリカやヨーロッパの大手企業でキャリアを積み、汎用ヘリコプター「NH90」や、衛星打ち上げロケット「アリアン5」をはじめとする、航空・防衛分野で名だたる開発プロジェクトに携わってきた。テンテックの共同設立者でもあるヴィラーズ氏は、その豊富な知識と経験から、専門家(SME:Subject Matter Expert)として意見を求められることも多いという。

期待の基準を超えたSTREAM®の性能


 メッシュ作成方法は熱流体解析ソフトウェアの選定を左右する重要な要素となり得る。少なくともテンテックにとっては鍵となる部分であり、テンテックでは構造格子系のCFDソフトウェアを探していた。もちろん、形状変換の精度、形状簡易の性能、計算速度が早く正確なソルバーとポスト機能、低価格帯などといったさまざまな項目も検討された。「導入直後からSTREAMはすべてにおいて、我々の期待値を上回る性能を持っていました。とても使いやすく、計算も早く結果も正確でした」(ヴィラーズ氏)。解析を行う際に厄介なのが、モデリングの調整と計算に長時間かかることだ。STREAMは、プリプロセッサの性能もソルバーの速度も驚くほどよかったとヴィラーズ氏はいう。「STREAMでは、機器の精密なモデルも記録的短時間で正確に作成することができました。これまで、この業界のデファクトスタンダードといわれるソフトや、数々の解析ツールを使用してきましたが、そのどれよりもSTREAMは使いやすさと解析性能といった点が優れていると思います。ユーザーインターフェースが見やすいのも良いですね。価格も非常にリーズナブルだったので、導入決定もしやすかったです。以来5年間、電子機器の冷却性能評価をする際の主な解析ツールにSTREAMを採用しており、導入を後悔したことはありません」。


電子機器分野における最適なツール


 STREAMによる成果は、過去5年間で数多くあったとヴィラーズ氏は語る。「STREAMでは非常によく電子機器の冷却性能を解析できますね。そのため、我々が手掛けるすべての電子機器の評価でSTREAMを使用しています。ソルバーの速度と正確性、結果が優れているのももちろんですが、ポスト機能も非常に良いと思います」。HeatPathViewなど、結果の視覚化を可能とするSTREAMの機能は大きな強みだとヴィラーズ氏は指摘する。「気温と気流の計算結果の解析値を実測と比べると、誤差の範囲は5%以内でした。STREAMを使った熱解析予測には自信が持てます」。

 

HeatPathViewによる詳細な熱情報


 STREAMを使用した解析のひとつが、レーダーの処理装置だ。熱管理の側面からレーダーの処理システムの性能を調べたいという顧客からの要望で、当初は顧客自らが他社のソフトを使用して解析を行っていた。しかし顧客データは使用不可で、モデル形状を一から作り直さなければならず、STREAMに切り替えたのだという。「STREAMを使い始めてからは、それまでの半分の時間で正確なモデルを作成することができるようになりました。HeatPathViewなどのユーティリティツールによって装置の熱性能をより正確に細かく調べることができ、内部冷却路を改善することができました」(ヴィラーズ氏)。HeatPathViewはSTREAMの補助ツールで、解析対象の熱経路、熱交換の指向性や形態、各部品の詳細な熱情報を調べることができる。図1の捜索救助用レーダーの装置モデル図では、HeatPathViewによる熱情報がテーブルとグラフで表示されている。このように、設計者がより直感的に評価できる仕様になっているのが特徴だ。


texas_figure1.jpg
図1:捜索救助用レーダー装置


過酷な環境における機器性能を正確に予測

 

  他には、軍事用のデータ記録・保存機器の全体の冷却設計をした例もある。「商用既製部品(COTS:commercial off-the-shelf)を使った装置のため、消費者向けに近い機器が軍事における過酷な状況下で使用された場合どのように性能が変化するかを予測するためには、緻密なモデルを作成する必要がありました」とヴィラーズ氏は語る。「STREAMの高い性能のおかげで、要素数2000万以上の詳細なモデルを短時間で作成することができました。一日で複数の設計パターンを解析することができ、ファンのサイズや流れ・配置の最適化を含む反復最適化も実行できました」(ヴィラーズ氏)。図2はその解析結果だ。右の高耐久データ保存装置では流線と、その上に重なる形で温度コンターが表示されている。左は、Intel Xeon®プロセッサの詳細な熱モデルだ。図の半分がオリジナルのモデル、もう半分が気温の解析結果と作成されたメッシュの様子を表している。予測値の傾向に沿う解析結果がSTREAMによって導き出され、認定試験も容易に通過して、機器はアメリカ海軍のE-2Dに搭載されて稼働中だ。


tentec_fig02.png
図2:詳細熱モデル(左)と高耐久データ保存装置のモデル(右)

 

電子機器の分野における熱流体解析の役割


 ヴィラーズ氏は、自身が携わっている業界では、妥当性試験や概念設計、最終的な検証段階といったプロセスで、熱流体解析は必要不可欠になりつつあると分析する。その一方、一般的にいわれる解析の課題についても指摘する。「過酷な状況を実験施設で再現するのは、技術的にもコスト面でも難しいのが実情です」(ヴィラーズ氏)。業界の課題としてよく挙げられているのが、コストパフォーマンス、使用難易度の高さ、結果の信憑性、資料化などの点だ。ヴィラーズ氏は、STREAMを活用することで、これらの問題を解消できるのではないかという。「価格も性能も申し分ないですし、常に改良されているのが良いと思います。ユーザーインターフェースも更に使いやすくなっていますね」。解析が専門ではないユーザーにとって、GUIは重要だとヴィラーズ氏はいう。また、STREAMのモデル参照機能や、結果を分かりやすくきれいな形で可視化する機能も、市場のCFDソフトの中でもベストな部類に入ると高く評価しているそうだ。

STREAM®の将来的な活用

 tentec_fig03.png
図3:STREAMのFLDUTILを使ったデータマッピング

 ヴィラーズ氏が現在携わっている熱解析の範囲は、機器の部品レベルから装置全体まで幅広い。熱流体解析は、熱管理や設計、検証のプロセスにおいて非常に役立っているという。STREAMは多機能なこともあり、解析を行う頻度は増えているそうだ。「将来的には、ビル風解析や空調といった分野でSTREAMを使用していきたいと考えています。FSIやCFD-FEA解析、Abaqus®との連成もしくは一方向解析など、進めていけたらいいですね」とヴィラーズ氏はいう。STREAM系のユーティリティツール、FLDUTILを使えば、圧力などの解析結果をAbaqus®といった構造解析ツールへマッピングさせることが可能だ。図3は、STREAMのポストプロセッサファイル(FLDファイル)から構造解析ソフトへ繋がるイメージを図にしたものだ。STREAMは今後も、早さと簡便さ、信頼性を兼ね備えたツールとして、テンテックで活用され続けていくだろう。

acr_logo.jpg


テンテックLLC

  • 設立:2011年
  • 事業内容:機械工学関連のコンサルティング
  • 代表者:コニー・ヨコガワ(社長)
  • 所在地:ロサンゼルス、CA(アメリカ)
  • URL:https://www.tentechllc.com/

※STREAMは、日本における株式会社ソフトウェアクレイドルの登録商標です。
※その他、本インタビュー記事に記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。
※本インタビュー記事の内容は2016年1月現在のもので、予告なしに変更する場合があります。また、誤植または図、写真の誤りについて弊社は一切の責任を負いません。

  

PDFダウンロード

 

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ピックアップコンテンツ