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事例で学ぶ!これだけは知っておきたい最適化の使い方~熱流体編 第13回 模型飛行機の設計 主翼の最適翼断面形状(2)

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事例で学ぶ!これだけは知っておきたい最適化の使い方

前回は、揚力係数、抗力係数の説明とジューコフスキー翼について説明しました。今回は、EOoptiによる実験計画とモデルの作成について説明します。

ジューコフスキー翼は、エクセルなどの表計算ソフトで作図できます。迎角、ξ0、η0に適当な値を入れて、いくつか作図した結果から範囲を決定します。今回は、迎角αは0~30度、ξ0は0.05~0.2、η0は0~0.5としました。設計変数は、α、ξ0、η0の3種類であるため、サンプリング数は(3+1)×(3+2)=20とします。次に、目的関数を抗力係数CD と揚力係数CL とし、抗力係数CDを最小化、揚力係数CL を最大化する条件を探索します。
以上をEOoptiに入力し、実験計画を行い、設計変数の組み合わせを得ます。得られた組み合わせをもとに、ジューコフスキー翼を作図し、3次元CADで座標値を取り込み、風洞部分も含めたCFDモデルを作成します。

揚力係数、抗力係数ともに無次元数ですが、レイノルズ数により変化するため、設計目標を想定した翼弦長、流速で解析を行う必要があります。今回は、模型飛行機の主翼なので、翼弦長を200[mm]、流速は15[m/s]としました。翼弦長を代表寸法としたレイノルズ数は約200,000となります。
CFDモデルは、図2.2に示すように、上流側に翼弦長の5倍、上下に同じく翼弦長の5倍、下流側に翼弦長の10倍の長さを設けて、2次元解析とするため、厚みは翼弦長の1/2とします。



図2.1 EOoptiでの実験計画



図2.2 CFDモデル(中央に翼)


EOoptiの実験計画に基づいたCFDモデルを作成し、確認のため解析してみます。解析は、2次元定常流れとし、解適合格子による自動メッシュ分割とします。図2.3、図2.4は解析No.1の流速分布と静圧分布です。SCRYU/Tetraから出力される翼表面に働く抗力と揚力とから、抗力係数CD 、揚力係数CL を計算してみると、以下の結果が得られます。


流速分布、静圧分布、抗力係数、揚力係数ともに、異常な点は見られないので、解析は正しいものとして、EOoptiの実験計画に基づいて、すべてのCFDモデルを作成し、SCRYU/Tetraで解析を行います。



図2.3 解析No.1の流速分布



図2.4 解析No.1の静圧分布


次回は、EOoptiによる最適解の探索結果について説明します。

【参考文献】 機械工学便覧 流体工学、ユーザーズガイド 最適化編(オプション)





著者プロフィール
御法川 学 氏 | 法政大学 理工学部 機械工学科 教授
環境計量士(騒音・振動) 1992年 法政大学大学院 工学研究科 機械工学専攻

1992年 株式会社荏原総合研究所 入社
1999年 法政大学工学部 助手
2001年 東京工業大学にて学位取得、博士(工学)
2004年 法政大学工学部 助教授
2010年 法政大学理工学部 教授




著者プロフィール
伊藤 孝宏 氏 | オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

1982年 筑波大学基礎工学類卒業。新日本製鉄株式会社に入社、加熱・冷却設備の開発に従事
1988年 オリエンタルモーター株式会社に入社、送風機の羽根・フレームの開発・設計に従事
2008年 法政大学にて学位取得、博士(工学)
2014年1月現在、オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

 

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