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事例で学ぶ!これだけは知っておきたい最適化の使い方~熱流体編 第16回 模型飛行機の設計 プロペラの翼断面形状(2)

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事例で学ぶ!これだけは知っておきたい最適化の使い方

プロペラの最適翼断面形状の検討を行っています。最適化の方法として、SCRYU/Tetraを用いてプロペラに働く軸方向の力と回転トルクを求め、軸方向力が最大で回転トルクが最小となる形状を求めることにします。今回は、プロペラ形状とCFDモデルの作成について説明します。

主翼の検討での前提条件と同じく飛行速度は15m/sとします。プロペラの回転速度は3000r/min、翼数は3で、その他の寸法は図2.1とします。翼断面形状については、主翼の検討の際に用いたジューコフスキー翼の断面形状を1/2にして流用します。すなわち、翼断面形状の設計変数とその範囲は、回転面からの取付角が0~30度、厚みパラメータξ0が0.05~2.0、反りパラメータη0が0~0.5とし、取付角、厚みパラメータ、反りパラメータの最適値を探索します。

プロペラのような回転体の設計では、翼断面形状を円筒面で定義しますが、3次元CADの平均的な機能でも作成できるように、今回は平面で定義した翼断面形状から押し出し機能により翼形状を作成します。また、プロペラ根元部分と翼端部分とでは回転速度が異なるため、それぞれの断面に適した翼形状とするため、一般的なプロペラでは、翼にひねりが加わった形状となりますが、今回は、解析およびモデル作成を容易にするために、断面形状は半径方向に一様としました。



図2.1 プロペラ寸法


CFD解析用のモデルは、直径1000mm、長さ2000mmの円筒型の風洞とし、中心にプロペラを設置します。境界条件は、プロペラ上流側の円筒端面を流入側とし、流速15m/sとします。また、流出側はプロペラ下流側の円筒端面とし、自然流出入とします。プロペラは3枚翼であるため、図2.2に示すように、1/3回転対称モデルとし、回転対称断面に周期境界条件を設定します。プロペラが回転する効果については、プロペラ周囲に回転空間を設け、ALE(Arbitrary Lagrangian Eulerian)法を用いて解析を行います。



図2.2 CFDモデル


解析結果の一例として、図2.3に翼周りの相対流速分布を、図2.4に翼周りの圧力分布を示します。図はポストプロセッサの回転対称コピー機能を行いて、全体を表示しています。



図2.3 翼周りの相対流速分布



図2.4 翼周りの圧力分布


次回は、EOoptiによる最適断面形状の探索結果について説明します。


【参考文献】 機械工学便覧 流体工学、ユーザーズガイド 最適化編(オプション)





著者プロフィール
御法川 学 氏 | 法政大学 理工学部 機械工学科 教授
環境計量士(騒音・振動) 1992年 法政大学大学院 工学研究科 機械工学専攻

1992年 株式会社荏原総合研究所 入社
1999年 法政大学工学部 助手
2001年 東京工業大学にて学位取得、博士(工学)
2004年 法政大学工学部 助教授
2010年 法政大学理工学部 教授




著者プロフィール
伊藤 孝宏 氏 | オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

1982年 筑波大学基礎工学類卒業。新日本製鉄株式会社に入社、加熱・冷却設備の開発に従事
1988年 オリエンタルモーター株式会社に入社、送風機の羽根・フレームの開発・設計に従事
2008年 法政大学にて学位取得、博士(工学)
2014年1月現在、オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

 

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