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もっと知りたい! 熱流体解析の基礎41 第5章 物質拡散:5.2.2 質量基準の濃度

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もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

5.2.2 質量基準の濃度

 濃度 にはいくつかの表現があり、よく用いられるものとして 質量濃度質量分率 モル濃度モル分率 があります。ここでは、質量に基づく単位である、質量濃度と質量分率について説明します。

質量濃度

 質量濃度は、単位体積の混合物に含まれる 成分 の質量のことで、単位は kg/m3です。図5.4のように 1 L(= 0.001 m3 )の食塩水に 10 g(= 0.01 kg)の食塩が含まれている場合を考えると、質量濃度は以下のようになります。




図5.4 食塩水と質量濃度


質量分率

 質量分率は、単位質量の混合物に含まれる成分の質量のことで、単位を持たない無次元量です。しかし、質量分率であることを明確にするために、kg/kg という表記が用いられることもあります。図5.5のように 990 g(= 0.99 kg)の水に 10 g(= 0.01 kg)の食塩を溶かす場合を考えると、質量分率は以下のようになります。




図5.5 食塩水と質量分率


5.2.3 物質量

 先ほどの濃度の単位のうち、モル濃度とモル分率は 物質量 に基づく単位です。

 物質量とは、ある物質を構成する分子(原子)の数を アボガドロ定数 (≈ 6.02 × 1023 [1/mol])で割ったもので、その単位は mol(モル)です。これは、言い換えると1 mol の物質にはおよそ 6.02 × 1023 個の分子(原子)が含まれていることを示しています。ある質量の物質が何mol に当たるかは、物質を構成する分子(原子)の分子量(原子量)から求められます。

 分子量(原子量)は元素周期表から調べることができます。元素周期表とは、元素を原子番号順に並べた表で、化学の教科書の表紙裏などに載っているものです。図5.6にはその一部を示していますが、ここから、「C」(炭素原子)と「O」(酸素原子)の原子量はそれぞれ12と16とわかります。



図5.6 元素周期表


 これらの値は、そのまま 1 mol あたりの質量 [g] に相当します。したがって、酸素(O2 )1 mol の質量は 16 × 2 = 32 [g]、二酸化炭素(CO2 )1 mol の質量は、12 + 16 × 2 = 44 [g] とわかります。





著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)

学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座」がある。 

 

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