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装置設計者のための騒音の基礎 第7回

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装置設計者のための騒音の基礎

時間率騒音レベル、等価騒音レベル

 A特性音圧レベル(騒音レベル)は、時間的に変動しない騒音の値を表します。一方、工場の機械や建設機械は動作状態により騒音が変動します。このような場合、時間的に変動する騒音の特徴を一つの数値で表現できる時間率騒音レベルや等価騒音レベルが用いられます。


 時間率騒音レベルはLx[dB]と表記され、A特性音圧レベルがLx[dB]以上の時間割合が、測定時間のx[%]以上であることを示しています。例をもとに説明します。例えば、A特性音圧レベルを一定時間ごとに測定した結果が図1のように得られたとします。この累積度数分布を求めると図2が得られます。 累積度数を反転させた値が時間率になります。図2から時間率で10%となる騒音値L10 は60dBであることがわかります。時間率50%のL50 は中央値と呼ばれています。 また、LからL100-x までの範囲は、(100-2X)%レンジと呼ばれます。例えば、L10 からL90 までの範囲は80%レンジです。また、 (100-2X)%レンジの上端値は、L になります。例えば、90%レンジの上端値はL5 です。

 


図1 A特性音圧レベルの経時変化


図2 A特性音圧レベルの累積度数分布

 等価騒音レベルは、LAeqT と表され、測定T時間内のA特性音圧レベルのパワー平均になり、下記の式で求められます。


 例えば、図1の等価騒音レベルをエクセルなどで計算すると、LAeq60min =55.2dBとなります。

 時間率騒音レベルや等価騒音レベルを算出する機能の付いた騒音計では、以上の計算は自動で行われます。

 以上は、騒音を評価するために定義された量であり、人間の感覚とは一致しない場合もあります。そこで、次回は人間の聴感に対応した表現である音の大きさについて説明します。

【参考文献】 機械音響工学 鈴木ほか コロナ社 





著者プロフィール
御法川 学 氏 | 法政大学 理工学部 機械工学科 教授
環境計量士(騒音・振動)

1992年 法政大学大学院 工学研究科 機械工学専攻
1992年 株式会社荏原総合研究所 入社
1999年 法政大学工学部 助手
2001年 東京工業大学にて学位取得、博士(工学)
2004年 法政大学工学部 助教授
2010年 法政大学理工学部 教授




著者プロフィール
伊藤 孝宏 氏 | オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

1982年 筑波大学基礎工学類卒業。新日本製鉄株式会社に入社、加熱・冷却設備の開発に従事
1988年 オリエンタルモーター株式会社に入社、送風機の羽根・フレームの開発・設計に従事
2008年 法政大学にて学位取得、博士(工学)
2014年1月現在、オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

 

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