Cradle

 

投稿一覧

装置設計者のための騒音の基礎 第13回

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
装置設計者のための騒音の基礎

騒音計のしくみ - 2

 前回は、マイクロホンとプリアンプから周波数補正までについて説明しました。今回は、実効値検波から表示までについて説明します。

 図1に、前回と同じく、一般的な騒音計の外観と機能ブロックを再度示します。A特性補正などの周波数補正された信号は、周期的な信号であるため、実効値を求める必要があります。この際の応答特性はJIS規格で規定されています。すなわち、Fastと呼ばれる時定数125msでの平均化とSlowと呼ばれる時定数1sでの平均化です。Fastは、人間の耳の時間応答に近似させた値で、一般的な測定に用いられます。一方、Slowは、新幹線騒音や航空機騒音の評価などに用いられます。


図1 騒音計の外観とブロック

 時定数と、抵抗とコンデンサで構成されたローパスフィルタの遮断周波数とは反比例するため、Fastは信号を1/0.125=8Hzのローパスフィルタに、またSlowは1Hzのローパスフィルタに通過させることになります。例として、0.1Paで0.2s間の音圧を2秒ごとに発生させた信号(バースト信号)をFastとSlowの処理を行った場合の出力を図2に示します。図の青い線が入力信号で、赤い線がFast処理、緑の線がSlow処理です。RCフィルタの出力は、時定数の位置で入力信号の約63%となります。図2を見ると、Fast処理では、約0.1Sで約0.06Paとなっていることがわかります。

 実効値検波された信号は、対数演算部で、基準音圧20μPaとの比の常用対数をとり、20倍とすることで、音圧レベルを求め、メーターあるいはデジタル表示器に表示されます。


図2 入力信号とFast、Slow処理後の信号


図3 入力信号とFast、Slow処理後の信号(デシベル表示)


次回は、検定と校正について説明します。

【参考文献】 機械音響工学 鈴木ほか コロナ社 





著者プロフィール
御法川 学 氏 | 法政大学 理工学部 機械工学科 教授
環境計量士(騒音・振動)

1992年 法政大学大学院 工学研究科 機械工学専攻
1992年 株式会社荏原総合研究所 入社
1999年 法政大学工学部 助手
2001年 東京工業大学にて学位取得、博士(工学)
2004年 法政大学工学部 助教授
2010年 法政大学理工学部 教授




著者プロフィール
伊藤 孝宏 氏 | オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

1982年 筑波大学基礎工学類卒業。新日本製鉄株式会社に入社、加熱・冷却設備の開発に従事
1988年 オリエンタルモーター株式会社に入社、送風機の羽根・フレームの開発・設計に従事
2008年 法政大学にて学位取得、博士(工学)
2014年1月現在、オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

 

最後までお読みいただきありがとうございます。ご意見、ご要望などございましたら、下記にご入力ください

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ピックアップコンテンツ