Cradle

 

投稿一覧

装置設計者のための騒音の基礎 第15回

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
装置設計者のための騒音の基礎

アナログ信号のデジタル化

 今回から、アナログ信号のデジタル化の際に生じる誤差について説明します。今回は、アナログ信号のデジタル化の概略を説明します。

 図1から図4にアナログ信号をデジタル化する工程を示します。図1に示すように、アナログ信号は、時間・振幅ともに連続した量です。一方、デジタル信号は離散値、すなわち飛び飛びの値で構成されているため、離散化した量に変換する必要があります。はじめに、図2に示す時間軸の離散化を行います。これは標本化あるいはサンプリングと呼ばれ、一定時間間隔ごとにデータを採取します。この時間間隔をサンプリング周期と呼び、サンプリング周期の逆数がサンプリング周波数になります。次に、図3に示す振幅の離散化を行います。これは量子化と呼ばれ、整数値にまるめられます。最終的に、量子化された振幅は図4に示すような2進数に置き換えられます。これは二値化と呼ばれます。なお、音のように正負に変動する信号では、符号付2進数が用いられます。符号付2進数では、最上位桁が正負の区別で、それ以降の桁が正負の符号を除いた値を表します。例えば、01000では、最上位桁が0なので、正の数を表し、下から4桁目が1となるため、+8となります。また、10101は、最上位桁が1なので、負の数を表し、下から3桁目と1桁目が1となるので、-(4+1)=-5となります。


図1 アナログ信号


図2 標本化


図3 量子化


図4 二値化

 二値化は、デジタル機器内部での処理であり、ビットエラーなどの誤動作が生じない限り、誤差は発生しません。したがって、考慮する必要があるのは、標本化と量子化であり、デジタル機器で測定・解析を行うには、この段階で生じる誤差すなわち、標本化誤差と量子化誤差を考慮した適切な設定を行う必要があります。

 次回は、標本化誤差について説明します。

【参考文献】 機械音響工学 鈴木ほか コロナ社 





著者プロフィール
御法川 学 氏 | 法政大学 理工学部 機械工学科 教授
環境計量士(騒音・振動)

1992年 法政大学大学院 工学研究科 機械工学専攻
1992年 株式会社荏原総合研究所 入社
1999年 法政大学工学部 助手
2001年 東京工業大学にて学位取得、博士(工学)
2004年 法政大学工学部 助教授
2010年 法政大学理工学部 教授




著者プロフィール
伊藤 孝宏 氏 | オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

1982年 筑波大学基礎工学類卒業。新日本製鉄株式会社に入社、加熱・冷却設備の開発に従事
1988年 オリエンタルモーター株式会社に入社、送風機の羽根・フレームの開発・設計に従事
2008年 法政大学にて学位取得、博士(工学)
2014年1月現在、オリエンタルモーター株式会社 技術支援部主席研究員

 

最後までお読みいただきありがとうございます。ご意見、ご要望などございましたら、下記にご入力ください

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ピックアップコンテンツ