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もっと知りたい! 熱流体解析の基礎07 第2章 物質の性質:2.4 比熱と熱容量

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もっと知りたい! 熱流体解析の基礎

2.4 比熱と熱容量  流体/固体 

  比熱 は単位質量の物質の 温度 を単位温度上昇させるために必要な 熱量 のことで、単位はJ/(kg·K) です。これは1 kg の物質の温度を1 K(= 1 ℃)上昇させるために必要な熱量を表したものです。

 比熱が大きい物質では、温度を上げるために多くの熱量が必要となります。逆に温度を下げるためにはより多くの熱量を取り去る必要があります。したがって、比熱が大きい物質ほど温まりにくく冷めにくい性質を持っているということになります。

 例えば、コンロで鍋を空焚きするとすぐに温度が上がりますが、鍋に水を入れた場合にはなかなか温度が上がりません。これは空気の比熱 1,007 J/(kg·K) と比べて、水の比熱が 4,183 J/(kg·K) と大きいことによるものです。


温まりやすさの違い
図2.6 温まりやすさの違い


 冷たいジュースを真夏の炎天下にしばらく放置していると、ジュースは温かくなってしまいますが、同じ炎天下でも海の水がお湯になることはありません。このように物体の温まりやすさは比熱だけではなく物体の質量にも依存します。これを表すために、比熱に物体の質量を掛けたものを 熱容量 といいます。熱容量は物体の温度を単位温度、すなわち1 K(= 1 ℃)上昇させるために必要な熱量を表し、単位は J/K です。この値が大きいほど、その物体は温まりにくいということになります。


温まりやすさの違い
図2.7 熱容量の違い


 もっと知りたい   気体の比熱
  液体 固体 では比熱を一定と見なすことができますが、気体は熱を与えるときの状態によって比熱の値が大きく変化するため、異なる定義の比熱が存在します。 定圧比熱 圧力 を一定(このときの体積は一定ではありません)としたときの比熱で、 定積比熱 (または 定容比熱)は体積を一定としたときの比熱になります。





著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)

学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。執筆したコラムに「流体解析の基礎講座」がある。 

 

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