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流体解析の基礎講座 第3回 第2章 物質の性質 (2):2.3 比熱,2.4 熱伝導率

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流体解析の基礎講座

2.3 比熱

  比熱 は物質の単位質量あたりの 温度 を 1 K 上昇させるために必要な 熱量 のことで、 [J/(kg・K)] という単位で表されます。
 比熱が大きければ、温度を上げるためにはより多くの熱量を与える必要があり、温度を下げるためにはより多くの熱量を放出する必要があります。したがって、比熱が大きいということは温まりにくく冷めにくい性質を持っているということになります。
 例えば、鉄のフライパンと土鍋をそれぞれ火にかけたとします。すると、鉄のフライパンはすぐに温まりますが、土鍋はなかなか温まりません。



図2.3 温まりやすさの違い


また、火を消すと鉄のフライパンは比較的すぐに冷えますが、土鍋はなかなか冷えません。



図2.4 冷えやすさの違い


 これらの違いは鉄よりも土鍋の比熱が大きいことによるものです。なお、比熱の値に物体の質量を掛けたものを 熱容量 (単位は [J/K] )と呼び、その物体の温度を 1 K 上昇させるために必要な熱量を表しています。


2.4 熱伝導率

 物体に温度差がある場合、熱は温度の高いところから低いところへと伝わります。 熱伝導率 はこのときの熱の伝わりやすさを表す値で、単位は [W/(m・K)] です。
 例えば、温かい飲み物が入った缶とペットボトルがあったとします。それぞれを手に取ってみると、容器の中に入っている飲み物の温度が同じであったとしても、缶のほうが熱く感じます。これは、ペットボトルの熱伝導率よりも缶の熱伝導率のほうが高く、より多くの熱を伝えるためです。



図2.5 熱の伝わりやすさの違い


 熱伝導率は一般的に 気体 液体 固体 の順で大きくなり、特に金属の固体で大きな値となります。また、空気の熱伝導率は非常に低い値であり、複層ガラスなどは空気のこのような性質を利用した製品となっています。

 次回は、「第3章 流れの基礎(1)」についてご説明したいと思います。





著者プロフィール
上山 篤史 | 1983年9月 兵庫県生まれ
大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 博士後期課程修了
博士(工学)

学生時代は流体・構造連成問題に対する計算手法の研究に従事。入社後は、ソフトウェアクレイドル技術部コンサルティングエンジニアとして、既存ユーザーの技術サポートやセミナー、トレーニング業務などを担当。

 

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